今回も前回に引き続き、自分の身の回りに降りかかった辛い営業を書きたいと思いますにゃ〜。急げコラ〜ム!
それはオレがまだワハハ本舗に入りたての2004年、営業の右も左も全くわからない時のこと。
この時は営業の大ベテランである先輩のコラアゲンはいごうまんさんと、ウクレレえいじさんのおふたりがいたから心強かった・・・はずだった・・・・
我々3人が訪れた営業先は、横浜にある某健康ランド!
ところがその営業、老いも若きも、雨後のタケノコというくらいお客の多い土日祝日・・・ではなく、
お客さんが少ないとされる平日、しかも昼間の2回ステージだった。
着くなり支配人さんに深々とあいさつし、いったいどんなお座敷ステージかと会場を下見させていただくと、
その支配人が
「今回の舞台は、こちらです。」
と、案内した部屋はなんと、
お客さんが寝ている薄明かりの仮眠室だった。
しかも平日の昼間に健康ランドに来ているお客さんとは見た目、ミナミの帝王に出てきそうなその筋の方しかいなかった。
そのにゃん攻不落な舞台を見て、営業に慣れている先輩芸人2人は、どうやってネタをやっていいか当然悩んでいた
しかしその営業の怖さを当時全く知らなかったオレは、先輩2人に明るく
「こうなったら、当たって砕けろですよ〜!」
と言って、猫の太鼓判を押し付けた。
後々、本当に自分が当たって砕けるのを全く気づかずに…。
そして舞台楽屋協議の結果、司会がコラアゲン、猫ひろし10分 ウクレレえいじ20分の持ち時間とにゃった。
そしていよいよ、第一部のゴングが鳴る・・・。
司会のコラアゲンさんの第一声は、とても一般の営業では聞こえてこない
「皆さ〜〜〜〜ん、起きてくださ〜〜〜〜い!」
だった。
この一言、お笑いの客席で寝ている人を目の前にしては、決して間違ってはいない・・・が、やはり仮眠室で気持ち良く寝ているお客さんの前では絶対に間違っている。
そしてその間違っている嫌な雰囲気のまま、猫vsミナミの帝王の試合が始まった。
いつものようにオレがリングコスチュームの半袖短パン衣装で
「猫ひろし!猫ひろし!・・・・・・・・うるせええええええええええ!」
とリングインして叫んだものだから、
こわもてのお客さん達は、皆一斉に起き上がり、
「てめえの方がうるせんだよ〜〜!こ〜の〜野〜郎〜!」
といきなりのカウンター罵声!罵倒!罵詈雑言!を浴びせてきた。
仮眠室で寝ているお客さんの前でネタをやってるんだから普通に考えて怒られて当然。
どんな過酷な状況でも、与えられた持ち時間をまっとうすること・・・・
これは前回の恐怖の仁義ニャき宴会でオレが学んだ教訓だがしかし、
今回のリングでは10分の舞台を気づいたらセコンド2人に2分弱でタオルを投げ込まれていた。
猫ひろし2分KO!
さんざん仮眠室で叫び、そして怒られ命からがら仮眠室というリングを後にしたオレを見ながら、お客は唖然として
「い、いまのはいったい何だったんだ・・・・・?」
「小学生がふざけてたのか?」
「いや、今のは日本の恥部だ」
と寝ていたお客さんが一斉に起きあがって、ディスカッションをしはじめた。
お客さんにしてみればまるで悪い夢を見た感じ。
それに続いて、今度はその名の如くウクレレえいじさんのウクレレの音が仮眠室中に響き渡った。
そしてまたもや、こわもてのお客さんらは、皆、いっきに起き上がり、
「こ〜の〜や〜ろ〜う!うるせえ〜ってのがわかんねえのか!」
と罵声!罵倒!罵詈雑言!を、えいじさんに浴びせていた。
へとへとで仮眠室の袖にあるこちらも薄明かりの楽屋へ引っ込んでどうにか地獄のリングを終えたオレたち3人・・・・・。
そこへ支配人がまたやってきて、当然のような顔をしてオレ達にこう言った・・・
「30分後に、2ステージ目始まります!」
…。
健康ランドの仮眠室の30分後と言うのは案の定、
さっきと寸分変わらず、全く同じミナミの帝王よろしく、こわもてのお兄さんたちが客だった。
第一部の失敗を教訓にして、第二部では司会のコラアゲンさんが、
いきなり床に頭をこすりつけ、土下座をしながら、
「只今より猫ひろしが先ほどの一部と全く同じネタをやります…。」
と叫んだものだから当然眠っていた修羅の方達は起き上がり、
「やれるもんならやってみろ、こ〜の〜や〜ろ〜う!」
とコラアゲンさんをにらみつけ、そしてまたまた怒号と、猫ひろしコールならぬ、帰れ帰れのシュプレッヒコールの嵐。
めちゃくちゃ怖くて辛い舞台だった
そもそもこの健康ランドのイベントでは今まで、演歌歌手がゲストと言うのはあったようだが、
「お笑い」と言うのは、オレ達が初の試みだったようだ。
そしてその初の試みは、完全に失敗に終わりこれが最初で最後のものとなった。
この時点でようやく、「これはやばい・・・」とさっちした支配人は、
急きょ、お笑い舞台からその場をビンゴゲーム大会に変更し、賞品をえさに修羅たちの怒りをどうにか静めた。
そして景品のタオルをもらった修羅の方々は、何事もなかったかのようにリクライニングシートに寝に帰るのだった
そして何事もありすぎたオレ達は、修羅の方々をもう二度と起こさないように仮眠室を後に帰るのだった。
ちゃんちゃん。